#85 小田原江之浦測候所と西湘の大自然

【岸田 壮史】

こんにちは、建築設計の仕事をしていると、仕事柄たまには良い建物、良い空間に接したくなるもので、近くにそんな素敵な場所はないものかと探していると、小田原にそんなスポットが!その名も「江之浦測候所」。測候所という名前がついていますが、気象観測などをする場所ではなく、建築、ランドスケープ、美術が融合したような、なんなのか定義できない場所なんです。箱根大輪山を背に相模湾が一望できる場所でとにかくロケーションが最高で、そのロケーションを存分に活かしたイカした場所なんです。

二宮団地からは車で25分小田原厚木道路を西へ進めばあっという間です。西に進むと箱根の山々に急に囲われますのでちょっと遠くへ来たぞ感が強くなるのですが、実際は箱根くらいまでなら30分とかからない。自然にも囲われ気持ちを切り替え心を休めるにはとても良いのです。これは湘南エリアの東ではなかなか味わえない二宮団地から西側の特徴なんです。(東は東で良いところはあるのですがそれはまた今度)

小田原厚木道路を抜け、海沿いの道(真鶴道路)から山を登り程なくすると江之浦測候所が現れます。駐車場に車を止め坂道を登ると急にガラス張りの洗練された建物が!受付に入りこの場所の丁寧な説明を受ける。各エリアの詳細が記載されたパンフレットをもらい鑑賞を始めるのですが、敷地も広く50箇所ほどの建築やアートの鑑賞スポットがあるためどこから行って良いかわからない笑 

全てはここでとてもお伝えしきれないので特に印象的なところを紹介します。

夏至光遥拝100メートルギャラリー

とにかく細長い建築笑。ガラス張りで海一望、海への視線を邪魔するものが一切ない、柱も一本もないんです。なんでも屋根は大谷石の壁から片持ちでせり出しているだけで、ここを監修した杉本博司さんの、建築にこのロケーションを高い純度で取り込もうとする執念が感じられる。凄い。

冬至光遥拝隧道

コールテン鋼というサビサビの鉄で囲まれたトンネル。70mほどある長さで、トンネルの先には四角に切り取られた海がある。ここは太陽高度の低い冬至の朝には、光がトンネルを抜けて海と逆側の石を照らすとのこと。純粋な建築が、何気に身近な自然を感じさせてくれる。僕のお勧めとしてはこのトンネルの途中にある光井戸で、真っ暗なトンネルを優しい自然光が照らしていた美しい場所でした。

光学硝子舞台

その名の通りガラスでできた舞台。ガラスを支えるのは、ヒノキの木材で、清水寺などで用いられているかけ造りという木の組み方で構成されていま(伝統工法が美しい)。水と親和性の高いガラスがまるで海とつながっているようでした。

化石窟

元々この小屋のまわりに広がるミカン畑の倉庫として使われていた場所。この中には杉本博司さんコレクションの化石が展示されています。倉庫は当時のままに保存されているようで、農機具や道具も展示の一つとなっているちょっと遊び心も感じるスペース。エッジの効いた建築を回った後はぜひここに。

敷地をまわりきり、気づけばあっという間に2時間が経過。西湘の自然を肌で感じさせてくれる洗練された所なんです。本当に車ですぐの場所なので二宮町で暮らす際は是非行ってみてください!

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